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163 終章 全体のまとめとインプリケーション 本報告書では、2013年度、2014年度、2015年度に全1年生と3年生を対象に本学で実施した大学IRコンソーシアム学生調査の結果について、経年変化、学年比較、学部・学科別の比較をしながら基礎集計を確認してきた。経年比較は近年の大学教育改善が進んでいるか、後退しているかを示す指標となり得る。1年生と3年生の比較は学年を追って改善したり後退したりしている可能性を示すものである。注意しなければならないのは、ここでの1年生と3年生は異なる学生集団(コーホート)であるため、1年生が3年生になったときの傾向なのか、学年による傾向なのかはここではわからないという点である。 本学生調査で確認したのは、学生の授業経験、学習態度・学習態度、大学生活の中で身に付いた能力と知識、大学生活に対する満足度、将来展望、1年生の大学入学前の経験、英語力と渡航経験、3年生が在学中に経験したいことである。詳細な結果については各章を参考していただくことにして、最終章の本章では、報告書全体を振り返りながら、本学の課題について確認していく。 1.授業経験、学習経験・学習態度(第2章、第8章) 1.1. 全体 学生の授業経験、学習経験・学習態度で肯定的回答の比率がとくに低かった項目は、 ・ 「授業の一環でボランティア活動をする」(1年9.9%、3年13.2%) ・ 「教員が提出物に添削やコメントをつけて返却する」(1年36.8%、3年42.1%) ・ 「授業で検討するテーマを学生が設定する」(1年35.5%、3年30.4%) ・ 「授業中、教員の考えに異議を唱えた」(1年9.3%、3年12.7%) ・ 「教職員に学習に関する相談をしたり、学内の学習支援室を利用したりした」(1年15.5%、3年25.5%) ・ 「単位とは関係のない教員あるいは学生による自主的な勉強会に参加した」(1年13.8%、3年19.1%) ・ 「大学の教職員に将来のキャリアを相談した(卒業後の進路や職業選択など)」(1年10.2%、3年23.6%) ・ 「教職員に親近感を感じた」(1年(23.7%、3年40.4%) であった。これらの項目はとくに本学で不足している経験・態度として検討する必要がある。 1.2. 経年変化(2013年度と2015年度の比較) 2013年度と比較して2015年度に5%ポイント以上増加した項目は、 ・ 「授業内容と社会や日常生活のかかわりについて、教員が説明する」(1年67.9%) ・ 「学生の意見が取り入れられる」(1年28.8%) ・ 「TAやSAなどの授業補助者から補助を受ける」(1年58.0%、3年51.2%) ・ 「学生が自分の考えや研究を発表する」(3年67.9%) ・ 「授業中に学生同士が議論をする」(3年64.6%) ・ 「授業で検討するテーマを学生が設定する」(3年30.4%) ・ 「提出期限までに授業課題を完成できなかった」(3年22.7%) ・ 「授業に遅刻した」(3年44.7%) ・ 「授業中に居眠りをした」(3年63.8%) であった。これらの項目は本学で改善されている可能性のある項目だと考えられる。 反対に、2015年度に5%ポイント以上減少した項目は、 ・ 「教員が提出物に添削やコメントを付けて返却する」(1年36.8%) ・ 「授業を欠席した」(1年26.0%) ・ 「授業を遅刻した」(1年26.8%) ・ 「授業をつまらなく感じた」(1年75.8%)

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